ネットショップの「BtoC」と「BtoB」ではどう違うの?2つを混同してはいけない理由
何らかの営業を経験した方の中には、BtoCとBtoCを学んだことがある方も多いでしょう。商品やサービスを販売するとき、この2つは混同してはいけません。混同すると新規顧客が獲得できなかったり、会社の信用を失ったりしかねないからです。当記事では初心者向けに、BtoCとBtoBについて解説します。
「BtoB」ってなに?
Bとは「ビジネス」であり、BtoBとは企業対企業の商取引を指します。卸業によくみられるビジネスです。例えば青果の卸売業を営む会社が八百屋と青果を取引する、繊維会社がアパレル会社と服や小物の取引をする、などです。「to」を「2」と読んで「B2B」と表記されることもあります。
BtoBの特徴
企業同士で取引を行うため、購入に時間がかかります。企業で何かものを購入する場合、担当者が即決して入金するわけではなく、社内で購入検討会議が行われ、そこで取引を行うか否かが決定するからです。しかし、比較的商品単価が高いことが多いため、時間がかかっても大きな利益を得られます。
また、BtoBの市場規模は年々大きくなっており、2014年時点では26.5%でしたが、2018年時点では30.2%です。1年に約1%ずつ上昇しており、今後も市場は拡大すると考えられます。
BtoB ECサイトの特徴
卸売りのBtoB ECサイトは、企業間の取引を迅速に処理できる点が大きな特徴です。BtoBは企業間の取引のため、紙の書類での受注や電話などのアナログな方法が多いですが、ECサイトはインターネット環境と端末があれば受発注業務ができるため、必要な時に必要なだけ注文できます。
また、ネット検索からの流入やWeb広告で新規開拓ができる点も特徴です。一般的なBtoBでは企業を訪問して自社のアピールを行い、認知してもらうところから始まります。企業と企業の間では信頼を築きやすいですが、時間がかかる点がネックでした。
しかし、BtoB ECサイトにすれば、わざわざこちらからアピールして認知してもらう必要はありません。ネット検索やバナー広告などの対策をとれば、新規顧客の獲得を簡単にできます。
「BtoC」とは?
Cとは「カスタマー」であり、企業と一般消費者での取引を指します。例えばスーパーで食品を購入する、店舗で服や靴などを購入する、などです。小売業でよく見られます。
BtoCの特徴
BtoBとは異なり、企業対一般顧客で取引することが最大の特徴です。BtoBと比較すると取引の単価は少ないですが、取引数を増やすことで売り上げアップが目指せます。また、商品やサービスのクオリティ・認知度も重要なポイントです。認知度が上がらなければ消費者の候補から外れることになり、売り上げアップにはなかなかつなげられません。認知度向上のために、広告やプロモーション費用に予算を大きくとる傾向があります。
BtoC ECサイトの特徴
BtoCのECサイトは、Amazonや楽天市場などが大手として知られています。こうした大手ECサイトで、商品を購入したことがある方も多いのではないでしょうか。BtoCのECサイトでは「外出なしで商品を手に入れられる」というメリットがあります。送料はかかりますが、交通費などを考えると近場で手に入らない商品である場合はかなり需要が高まります。
しかし、企業間での取引ではないため集客方法やサイトのレイアウトなど、さまざまな細かい点に考慮してサイトを設計することが必要です。例えばBtoBのECサイトは企業のみが顧客となるため、必要最低限の情報量でも商品の価値が伝わるかもしれません。
BtoCは一般消費者が対象であるため、だれが見てもわかりやすいデザインであり、操作が簡単にできる設計が必要になります。また、消費者が購入しやすいよう多様な決済方法を採用することも必要です。
BtoBでは先に商品を納品して後から代金を支払う掛け売りや銀行振り込みができますが、消費者を相手にした場合はクレジット決済、代引き決済、コンビニ決済など、さまざまな決済方法を準備しなければいけません。もし決済方法の種類があまりなければ、希望する決済方法がないことを理由にほかの店舗に流れてしまう可能性もあります。
2つのネットショップは混同してはいけないの?
ECサイトを立ち上げる際、BtoBとBtoCを混同してはいけません。なぜなら、両者は対象者が全く異なるほか、料金設定や販売できる量も違うからです。もしこの2つを混同してしまい、ターゲットをしっかりと決めて設計できていなければ、以下のようなリスクにさらされる危険性があります。
新しい顧客獲得の機会損失
どんな商品・サービスを提供するときでも、ターゲットの絞り込みとデータの分析は必須です。しかし、BtoBとBtoCを混同して企業と一般消費者を対象としてしまうと、ターゲットに適した運営ができず、その結果新規顧客獲得の機会を損失してしまうでしょう。
また、BtoCでは品質・価格面・ブランド力が決め手になるケースも多いです。そのため、両方をターゲットとした中途半端なデザインにしているとどちらの対象者にも刺さらず、訴求不足で結果的に「決められない」という事態になってしまいます。
BtoBの場合は企業に対して商品やサービスがどのように利益につながるか、品質や費用対効果について訴求し、BtoCの場合はターゲットの感情や流行を把握したうえでのタイミングなど、ニーズに合った訴求を打ち出せるよう工夫するとよいでしょう。
ページアクセス数の減少
BtoBとBtoCを混同するとターゲットに合わせた訴求ができないため、ページへのアクセスが減ってしまいます。たとえSEO対策で検索トップに表示されるようになっても、バナー広告でよく見かけるようになっても、自分が欲しいものに合致していないとみなされ、クリックされる回数が減ってしまうことでしょう。
また、ページにたどり着いても「情報が少なくて一般向けではない」「一般消費者向けのデザインで企業向けではない」と判断され、購入には繋がらないと考えられます。BtoBとBtoCでは購入を決定する人が異なるため、ターゲットを明確にしたうえでデザインを設計するとよいでしょう。
信頼の失脚
BtoBは「企業でのみ購入可能」であることで信頼が築き上げられます。対企業の場合は大ロットでの販売となり、取引単価としては高いものの商品の単価としては安くなります。しかし、企業向けの商品を一般向けに販売したとなるとどうなるでしょうか。一般消費者が簡単に手に入れることができるため企業からの需要は減少し、信頼も失ってしまうでしょう。
なぜなら「企業だけが手に入れられる」というメリットがなくなってしまうからです。「中間マージンをカットして値段を安くしました」と書けば一般消費者からの印象はよいものの、それまで取引していた企業としては「利益を独占するために取引を中止させられた」と感じるかもしれません。
BtoBの商品をBtoCで販売すると、その後BtoBに戻すには難しくなります。そのため両者を混同せず、ターゲットを明確にしたうえで商品・サービスを提供しましょう。
まとめ
ネットショップのBtoBとBtoCについて解説し、両者を混同するとどのようなリスクが発生するのかを説明しました。どんな商品・サービスを提供する場合でも、どんな人がターゲットなのか明確にしておきましょう。対企業と対一般消費者では、ECサイトのデザイン設計や訴求内容ががらりと変わります。もし対企業の商品を一般消費者向けの訴求内容で掲載してしまうと、希望通りの結果は得られないでしょう。売り上げを伸ばしつつ企業としての信頼を失わないためには、両者の違いと特徴をしっかりと理解して運営をしましょう。