ネットショップ一元管理システムの目的とは何?
各ネットショップで一元管理システムの導入が進んでいますが、その目的とはなんなのでしょうか。一言で一元管理と言っても、具体的なメリットを理解できていない経営者も少なくありません。
コストをかけてシステムを導入する以上、費用対効果は分析する必要があります。ここではネットショップの一元管理の目的について解説します。
システム連携における一元管理について整理しよう
ネットショップの運営にはさまざまなシステムが必要ですが、それぞれ個別のシステム連携では、規模が大きくなったり数が増えたりするごとに管理コストが増加します。後づけで無理につなげると経路が複雑化したり、逆に維持管理が難しくなることで安定した運営の妨げになることもあります。
分散配置したシステムを個別につなげる行為は、後々のメンテナンス不備やトラブルの元になるため、回避するために中継を構築するのが一般的です。まっさらな状態から必要なシステム環境を過不足なく組むことは理想論ではありますが、現実にはほぼ不可能と言っていいでしょう。
そのため、多くの場合はすでに個別に運営されているシステムをつなげるため中継地点を作り、そこにデータ置き場を構築することになります。各システムからその中継地点へアクセスし、必要データの授受をおこなうことでシステムの一元管理を実現します。
ただ、一元管理とよく似たワードに集中管理、もしくは一括管理というものがありますが、これらは一元管理とは異なります。単に各ショップのデータを1カ所に集めて管理するのが集中管理や一括管理ですが、一元管理では管理方法そのものを統一することに意義があります。
別のワードには同期がありますが、同期は異なる端末同士でフォルダ構成などを同じ状態にする機能です。本当の意味で一元管理をおこなうのであれば、複数のショップを統一化された環境下に置き、統一化された経営戦略に基づいて運営する必要があります。このスタート地点を間違うと、なんらかのシステムを導入しても想定した効果を得られず、無駄なコストが流出することになりかねませんので注意してください。
ネットスピードを先回りする速さを得るのが目的
一元管理すべき経営資源は、一般的に人・物・金・情報ですが、ネットショップにおいて特に重要なリソースは、商品やサービス、売上、顧客データでしょう。
これらを一元管理することで迅速な経営判断ができますし、素早い戦略を選択することができます。ネット社会は目まぐるしいスピードで変化していますので、それを先回りする速さを得るためには必須の対策です。リソースの一つである「人」に関しては、通常の店舗運営より大幅に人件費をカットできるのがネットショップのメリットです。
ただ、顧客ニーズの分析や物の仕入れ、ビジネスを成長させるマーケターとしての役割を果たす人材は重要であり、スタッフを適所に配置するためにも一元管理は必要です。顧客に提供する商品やサービスは非常に重要なリソースであり、適確なタイミングで適切な量を仕入れるためには逐一数や動きを掴まなければなりません。
商品と在庫データの一元管理は肝ともと言えるもので、複数のショップにわたってリアルタイムな在庫状況を正確に把握する仕組みが必要です。受注と在庫の引き当て、出荷予定の商品数量、場合によっては製造計画まですべて掴むためには、もはやシステムは欠かせない存在です。そして販売管理システムにおいては、自動的に会計システムと連携することで大きな効果を発揮します。
仕訳データ入力の手間を省いたり、入力ミスなどヒューマンエラーを防止したり、経理処理において強い味方になるでしょう。おすすめは帳票発行も含めて一元管理する販売管理システムの導入です。システムによる「金」の一元管理は、業務効率化とコスト削減を同時進行し、業績アップに貢献してくれるでしょう。
そしてスピードの速いインターネットの世界において、顧客情報を一元化し、顧客目線でニーズに沿った営業をおこなうことは非常に大きな経営目的となります。どんな顧客がどんな商品に興味を持ったか、購入したか、どんな問い合わせをしたかなどを一元管理することで、真に安心感や信頼感を与えられる営業が可能となります。
従来、顧客データは販売部門のみが持つものでしたが、生産部門のデータと共有すれば余剰や不足を回避することもできます。顧客情報を経営者が正確に知ることで、経営判断がスピーディーになり、先回りできるマーケティングにもつながるでしょう。
ネットショップの一元管理システム活用例を紹介
それでは具体的に、ネットショップでどのように一元管理システムが活用されているか紹介しましょう。まずは、受注の一元管理です。各ネットショップの受注を一つの管理画面で確認できるため、顧客のニーズに迅速に対応できるうえに、行き違いを回避することができます。
システムにもよりますが、受注ごとにステータスを自動的に振り分けて表示できるのが一般的なので、どの案件がどういう状況下にあるのか一目瞭然です。例えば発送待ちの案件や入金待ちの案件など、確認処理を自動化することで、漏れやミスを防ぎ、迅速な対応が可能となるでしょう。このことは顧客満足度につながり、ショップの信頼性アップにつながります。
続いて、メールの一元管理です。ショップにもよりますが、現在多くのショップで採用している顧客へのメールは多岐にわたります。例えば注文に対するお礼メール、発送が完了した連絡メール、入金確認メールなど、一人の顧客の一つの注文に対して複数のメールが発送されます。
もちろん定型メールではありますが、それぞれのタイミングに合わせて人が送信したら漏れやミスのリスクが高くなるのは当然です。一元管理システムなら定型文を登録しておけば自動送信可能ですし、メール管理ソフトと連携して問い合わせの対応も一元管理することが可能です。
また在庫の一元管理では、商品が売れたら全店舗から商品数を差し引き、常に最新の在庫数表示をおこなうこともできます。この在庫調整は、複数のネットショップを持つ経営者にとって非常に嬉しい仕組みでしょう。完全にシステムに自動化させることができて、しかも正確な数字をリアルタイムに把握することができるので、効果を実感しやすい部分です。
他にも商品登録の一元管理は、人的作業の軽減に大きく貢献します。例えば商品データをシステムに1度登録すれば、すべてのネットショップで同じ商品ページを登録することができます。それぞれ個別対応をしていたショップなら、大幅な人件費の削減が叶うでしょう。
もちろん登録するだけでなく編集するのも一括ですから、一斉に全店舗の価格を変更したい場合や、SEO対策を施したい場合も1回の作業で完了できてしまいます。 そして経営者にとって、全ショップの売上管理や顧客分析を一つの画面でおこなえることは、とても大きなメリットです。
月次決算処理や経理業務にも大きく影響しますし、競合他社に先んじてマーケティングをおこなうためにも、すでに必須のシステムと言えるでしょう。
ネットショップに一元管理システムを導入する目的は、経営資源を正確に管理し、有効活用することで業績をアップさせることに尽きます。また、煩雑になりやすいシステム連携を一つにまとめることで作業効率を上げ、無駄なコストを削減することも可能でしょう。
ただ何よりも重要なのは、そうした管理を徹底することで顧客満足度を上げ、ショップとして信頼を得ることが一番重要です。業務効率化でスピーディーな対応をおこない、顧客目線のマーケティングに注力することで競合に勝てる経営戦略を実現してください。